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───菊池誠、山本弘、長澤裕など、日本の「911陰謀論」批判者たちの言っていることは正しいか

『RikaTan』の記事⑥ 遺体をペンタゴンの現場にばら撒いた?


 今回は『RikaTan』の記事から、山本弘の考える9つの「代表的な陰謀説」のうちの8番目を取り上げる。「ペンタゴンに突入したのがAA77便でないなら、乗客の遺体はどこから来たのか?」という疑問である。

⑧本物のアメリカン航空77便は、どこかの軍事基地にこっそり着陸させられた。乗員乗客は全員殺され、その死体はばらばらされて焼かれ、ペンタゴンで発見されたかのように偽装されたのだ。


 この「偽装」とはどういうものか。山本弘『ニセ科学を10倍楽しむ本』の記述が詳しい。

パパ「本物のアメリカン航空77便は、どこかの軍事基地にでもこっそり着陸させられて、乗員乗客は全員殺されて遺体を焼かれた。その黒こげの遺体を、何者かがこっそりペンタゴンの現場に持ちこんでばらまいた……というんだ」
夕帆「回りくどい!(笑) それだったら旅客機をぶつけたほうが早いじゃない。(略)」(P300)


 ……おかしな話である。あまりにもおかしな話だ。こんなことを言っている奴はいない。
 夕帆ちゃん、残念だけどそれはパパの嘘なんだ。

元ネタ


 この話の元ネタはおそらく、2008年11月「911真相究明フォーラム in OSAKA」での、グリフィン教授の以下の発言である。『Skeptic's Wiki』から引用しよう。

そういえば、まだ遺体に関する質問に答えてなかったね。もちろん遺体はあったさ。殺された125人のペンタゴンで働いていた人たちの遺体が。しかし、飛行機に乗っていた誰かがペンタゴンで死んだという証拠を我々は持ち合わせていないんだ。われわれが知っている唯一のことは、飛行機からの遺体とペンタゴンからの遺体は陸軍の病理学研究所に現れたということだ。しかし、それらの遺体がFBIと軍によって運ばれてきたということは不則なことだった。遺体はペンタゴンから別の建物に移され、そして病理学研究所に運ばれてきた。よって、その中継となった建物に飛行機からの遺体はどこか別の所から運ばれてきたかもしれないのだ。そして病理学研究所の人々はそれらの遺体はペンタゴンから来たと推測しただけかもしれない。


元の音声記録(訳の仕方が異なる) (54:30~)
https://www.corbettreport.com/mp3/20081101_griffin_afternoon_lecture.mp3


 つまり、乗客の遺体は「輸送の途中で加えられた」ということだ。山本弘の言うように「ペンタゴンの現場に持ち込みバラ撒いた」という話ではない(当たり前だ)。

自覚的な嘘


 山本弘は嘘を言ったのだ。あまりにも嘘くさ過ぎるから、『RikaTan』では「偽装した」とぼやかして書いたのだろう。嘘の自覚があるのだ。
 その他本やブログなど、あちこちで同じことを言っている(「論理盲」のひとたち))。自分の嘘を元に他者を批判する。馬鹿らしい話である。




2019-08-03 : 『RikaTan』 : コメント : 0 :
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NIST・FAQ にある嘘と、それに対するmixiの「懐疑論者」の反応


Screenshot_2019-04-24 Japanese translations

「人々は村八分にされることを恐れます」
──────フランシス・シュア
https://www.youtube.com/watch?v=aYUBOcA9L74

NIST・FAQ


 今回は、NIST報告書のFAQの間違いと、それを目の当たりにしながら何も見なかったように振る舞う「懐疑論者」の反応について書こう。

 2005年にツインタワー崩壊に関するNIST報告書が公表され、その翌年、そのFAQという文書が発表された。当初は14項目のFAQがあったが、2011年には34項目に増えた。
https://www.nist.gov/topics/disaster-failure-studies/faqs-nist-wtc-towers-investigation

 だがこのFAQ、内容がメチャクチャなのだ。
 かつてmixiで、このFAQの内容について議論があった。結果として分かったのは、FAQに故意の嘘が書かれていたということである。

問題の項目と日本語訳


 今回取り上げるのは、現在のFAQの第11項目である。引用しよう。

11. How could the WTC towers collapse in only 11 seconds (WTC 1) and 9 seconds (WTC 2)-speeds that approximate that of a ball dropped from similar height in a vacuum (with no air resistance)?

NIST estimated the elapsed times for the first exterior panels to strike the ground after the collapse initiated in each of the towers to be approximately 11 seconds for WTC 1 and approximately 9 seconds for WTC 2. These elapsed times were based on: (1) precise timing of the initiation of collapse from video evidence, and (2) ground motion (seismic) signals recorded at Palisades, N.Y., that also were precisely time-calibrated for wave transmission times from lower Manhattan (see NIST NCSTAR 1-5A).

As documented in Section 6.14.4 of NIST NCSTAR 1, these collapse times show that:

"The structure below the level of collapse initiation offered minimal resistance to the falling building mass at and above the impact zone. The potential energy released by the downward movement of the large building mass far exceeded the capacity of the intact structure below to absorb that energy through energy of deformation.

Since the stories below the level of collapse initiation provided little resistance to the tremendous energy released by the falling building mass, the building section above came down essentially in free fall, as seen in videos. As the stories below sequentially failed, the falling mass increased, further increasing the demand on the floors below, which were unable to arrest the moving mass."

In other words, the momentum (which equals mass times velocity) of the 12 to 28 stories (WTC 1 and WTC 2, respectively) falling on the supporting structure below (which was designed to support only the static weight of the floors above and not any dynamic effects due to the downward momentum) so greatly exceeded the strength capacity of the structure below that it (the structure below) was unable to stop or even to slow the falling mass. The downward momentum felt by each successive lower floor was even larger due to the increasing mass.

From video evidence, significant portions of the cores of both buildings (roughly 60 stories of WTC 1 and 40 stories of WTC 2) are known to have stood 15 to 25 seconds after collapse initiation before they, too, began to collapse. Neither the duration of the seismic records nor video evidence (due to obstruction of view caused by debris clouds) are reliable indicators of the total time it took for each building to collapse completely.
https://www.nist.gov/topics/disaster-failure-studies/faqs-nist-wtc-towers-investigation


 議論になったのは、これをどう解釈するかだ。理解を助けるために、一応の日本語訳(非公式)があるのでそれを紹介する。

6. 11秒(WTC1)や9秒(WTC2)そこらで――その速さは、真空(空気抵抗なし)で同様の高さからボールが落下する速さに相当する――、どうやってWTCタワーが崩壊できるのでしょうか?

 NISTは、崩壊開始から外壁パネルが最初に地面に衝突するまでの経過時間を、WTC1で約11秒、WTC2で約9秒とそれぞれ見積もりました。これらの経過時間の基にしたのは、(1)ビデオ証拠から崩壊開始の正確なタイミングと、(2)ニューヨーク市パリセーズで記録された地殻振動(地震)信号です。ロワー・マンハッタン(NCSTAR1-5A参照)から振動波の伝達にかかる正確な時間測定も行われました。

 NIST NCSTAR 1のセクション6.14.4に記載されているように、これらの崩壊時間は以下のことを示しています。

 「…崩壊を開始した高さより下側の構造は、衝突ゾーンから上側の落下するビルの質量に対してほとんど抵抗できませんでした。大規模なビルの質量の落下運動によって解放された位置エネルギーは、下側の無傷の構造が変形エネルギーで吸収できる能力をゆうに超えていました。

 崩壊を開始した高さより下側の階が、落下するビルの質量によって解放されたすさまじいエネルギーに対してほとんど抵抗できなかったため、ビデオで見られるように、ビルの上層部は基本的に自由落下で崩れました。下側の階が連続して潰れ、落下する質量が増大するにしたがって下層フロアに対する要求はさらに増大していったため、それは質量の落下を阻止しえなかったのです。」

 言いかえれば、下層の支持構造(それは、まさに上層のフロアの静止重量を支持するために設計されたのであって、落下運動量による動的な影響を支持するようには設計されていない)に向けて落下する12階から28階分(それぞれWTC1とWTC2)の運動量(=質量×速度)は、下層の構造の強度耐性をはるかに凌駕していたため、それ(下層の構造)は質量の落下を止めることができず、もしくは遅くすることさえできませんでした。連続する各下層フロアが受ける落下運動量は、質量が増加するにつれ、さらに大きくなりました。

 ビデオ証拠から、双方のビル(WTC1のおよそ60階とWTC2の40階)の中心にある重要な部分は、崩壊開始後それらが同じように崩壊するまで、15秒から25秒間立ってことがわかっています。地震記録の持続時間もビデオ証拠(残骸によってできた雲による視界不良のせいで)も、各ビルが完全に崩壊するのにかかった総時間の指標としては信頼できません。
https://web.archive.org/web/20161111100412/http://www.geocities.jp/sazanami_tsushin/readers/0609/r0609_19.html


mixi での議論


 この解釈について、かつて mixi で議論があった。2008年、『懐疑論者の集い-反疑似科学同盟-』コミュニティ。ここは当時、日本のインターネットの中心であったmixiにおいて、懐疑主義・ニセ科学批判などの総本山的な場所であった(今は見る影もないが)。
https://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=70043&page=2&id=32743209

 議論の全てを引用すると長くなるので、興味のある方は実際にリンク先を見て頂きたい。ここでは経緯をかいつまんで説明する。

 当ブログ管理人(デミ)が、「911トピック その4」を建てた。そしてトップの説明文を以下のようにした。

「なぜWTCはわずか10秒で崩れ去ったのかしら?」

──────911の被害者の遺族、モニカ・ガブリエ


 その後、この「10秒」という数字は適切か、という議論が起こる。
 僕は、NIST・FAQにツインタワーの崩壊に要した時間として「9秒・11秒」の記載があるため、適切だとした。それに対する反論として、 Getzenさんの86にNIST報告書から以下の一文の紹介、および Yossyさんの97の日本語訳があった。

 Times listed in Table 3-1 for the collapses of the two towers based on the television records and the revised LDEO analysis appear to differ significantly.
 These differences are likely due to different definitions used for the collapse times.
 The times based on visual analysis refer to the time when the collapse of a tower first become evident, while the times based on seismic records likely indicate the time when the falling debris first struck the ground.
 The differences between the two times were estimated to be approximately 9 s for WTC 2 and approximately 11 s for WTC 1 based on videos of the collapses.
 When the times required for falling debris to reach the ground are subtracted from LEDO times, the collapse times also agree within the reported uncertainties. (P23)
https://www.nist.gov/publications/visual-evidence-damage-estimates-and-timeline-analysis-chapters-1-8-federal-building?pub_id=101356


表3-1に示された2つのタワーの崩壊時刻は、テレビの記録に基づくものと修正されたLEDO分析に基づくものでは、有意に差があることが分かった。
これらの相違はおそらく、崩壊時刻の定義が異なることが原因だと考えられる。
画像解析に基づいた崩壊時刻は、タワーの崩壊が始めて明確になった時を参照している一方、地震計の記録に基づく崩壊時刻はおそらく、降り注ぐタワーの破片が最初に地面を打った時刻を示していると考えられる。
崩壊の映像に基づき、この二つの時刻の差はWTC2でおよそ9秒、WTC1でおよそ11秒だと推定された。
破片が地面に落ちるまでにかかる時間をLEDOの時刻から差し引くと、崩壊時刻は報告された誤差の範囲に収まる。


 僕(デミ)はこれを認め、「9秒・11秒」はビルの崩壊に要した時間ではなく、”The differences between the two times”だとした。
 だが、それでもこのFAQの文章は意味が通らない。結局、僕は以下のように結論する。

[138] デミ
 ツインタワーの崩壊が10秒で完了したという記述はありませんが、”the building section above came down essentially in free fall”という記述があります。
 また、FAQの記述にある鈎括弧付きの引用部分を「具体的なビル崩壊の様子」と書きましたが、「ツインタワーの崩壊が速やかであったことの説明」をしている、といった方が正確ですね。またその文中にある”the building section above came down essentially in free fall, as seen in videos”の説明をしている部分だ、といってもいい。

 ”these collapse times”=”The differences between the two times”すなわち「11秒・9秒」が、「ツインタワーの崩壊が速やかであったこと」や”the building section above came down essentially in free fall, as seen in videos”を示す、とNIST・FAQが書いているならば、それは同時にFAQの項目にあるそもそもの問い
”How could the WTC towers collapse in only 11 seconds (WTC 1) and 9 seconds (WTC 2)―speeds that approximate that of a ball dropped from similar height in a vacuum (with no air resistance)?”
への回答でもあります。(中略)

 自由落下に近似できるような時間になった理由は、「11秒・9秒」が”The differences between the two times”であり、ビルの崩壊時間を示すものではないからですよね。何故NISTはそのように説明しないのでしょうか?

 そもそも「9秒・11秒」はツインタワーの崩壊時間を示すものではないのに、NISTはFAQの項目の質問と同様の誤解をして回答しているのだ、と僕は思います。あるいは単に「訳の分からないことを言っている」。


 これで決まりのはずだが、Yossyさんは自身の間違いを認めようとせず、しばらく新解釈を書き込んだりしていた。だがそれに支持者が現れるに至って、5日後に渋々間違いを認める。

[227] Yossy
>208 G@回転中さん
すいません。他のFAQについては全く目を通していなかったので、私の希望的な解釈が意図せず混ざってしまったようです。
改めて訳文、及び原文に目を通し、そのトンチキさに笑ってしまいました。


 そう、そもそもこのFAQは悪名高いのだ。英語圏ではさぞかし馬鹿にされていることだろう。

 議論の決着はついた。
 しかし、これで話は終わらないはずである。本来ならば。

故意でしかありえないのは明白だが


 NIST・FAQに間違いがあるということはあまりにも深刻な問題だ。それは故意でしかありえないからだ。NISTのような組織の公式発表で、初歩的なイージーミスはありえない。
 すなわち米政府がツインタワーの崩壊について、故意にデタラメを言っているということを意味する。

 これは明白なはずである。しかし、誰も言わない。誰一人としてそれに言及しない。よく「多数の人間を黙らせることは不可能だ」などと言うが、しっかり皆さん黙っていらっしゃるじゃないか…
 そしてどういうわけか、問題など何も無かったことになる。そしてわずか3か月後、僕は管理人により、コミュニティを強制退会させられるのである。

参考文献にすらされている


 さらに話は続く…
 上記の議論は2008年のできごとだ。その後日本における「911陰謀論批判」は、全てこれを踏まえた上でしていると言っていい。だが誰もこの嘘に言及しない。
 …山本弘など、2016年の『Rikatan』誌の911陰謀論批判記事で、このNIST・FAQを参考文献とし
「11秒と9秒というのは、外壁から剥がれ落ちた部分が地上に激突するまでの時間である」(P62)
などと語っているのだ! 

「確かに矛盾はあった。しかし矛盾など私は見なかったしそんな事は有り得ない、いいね?」

──────二重思考/ダブルシンク
https://www49.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/27995.html




テーマ : 911真相究明
ジャンル : 学問・文化・芸術

2019-04-30 : NIST : コメント : 1 :
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ASIOS『謎解き 超常現象』の間違い


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「いいえ。私たちには信念があります。懐疑論者は、誤りを認めずに事実を捻じ曲げてまで面子を保つようなまねや、自分の確信に疑いを挟む主張から目を逸らすようなことはしません」
────────ASIOS
https://web.archive.org/web/20090414185846/http://www.asios.org/faq.html#q03

ASIOS とは


 今回は、ASIOS著『謎解き 超常現象』の文庫化に合わせて、その元の本にある記事「911陰謀論の真相」を取り上げる(文庫版ではこの記事はカットされた)。合わせて、 ASIOS という組織のことも考えてみよう。

 ASIOS は2007年に結成された組織で、「超常現象の懐疑的調査のための会」(Association for Skeptical Investigation of Supernatural)の略称だ。…略称というのは変だと思うが、まあ公式サイトにはそうある。
http://www.asios.org/asios

ASIOS 設立初期の活動理念


  ASIOS は設立当初、懐疑主義団体としての少々青くさい理想のようなものがあった。例えば、公式サイト開設時の「FAQ」のページはこんなだった。ちょっとすごいぞ。
https://web.archive.org/web/20071124104544/http://www.asios.org/faq.html

 また、『謎解き 超常現象』の刊行時には会の「活動理念」が存在し、そこには「自己修正の重視」 として、以下のようにあった。

「間違いは修正すればよい」という懐疑論者の価値観を、建前だけにせず、受けいれることも重視します。
https://web.archive.org/web/20090316140821/http://asios.org/asios.html
(※2008年3月の「お知らせ」に「[ASIOS]のページに活動理念を掲載しました」とある)


 同じように、『謎解き 超常現象』の「はじめに」「おわりに」にはこうある。

「超常現象を扱ったテレビや書籍の中には、肯定的な情報ばかりを流し、自分たちの主張に不利な証拠にフタをしてしまうものも少なくありません。私たちはそうした証拠を隠すことなく提示する一方、調査の結果、どうしてもわからないことがあれば、それも正直に書くよう心がけました」(P4)

「根拠のあるご批判は謹んでお受けし、必要な場合は訂正する所存です。」(P301)


 そんなわけで、僕はこの本の911記事の批判を、ASIOS へメールしたのだ。「近く著者から返事がゆく」という応えがあったものの、その後返事は来なかった。 

記事の問題点


Screenshot_2019-04-17 Larry ‘Lucky’ Silverstein To Receive Another $95 Million In New 9 11 Settlement

 記事の著者は長澤裕 現立命館大学教授。既に ASIOS を退会している。
 問題点については長くなるので、ここでは理解しやすい以下の二点だけを指摘しよう。

① ラリー・シルバースタイン共謀説

「シルバースタインには、テロで倒壊したWTCの再建義務が課せられていた。それに要する費用は推定63億ドル。保険料が当初の契約通り、満額支払われていたとしても約30億ドルの赤字だった。(中略)わざわざ巨額の赤字を出すようなマネをするだろうか」(P180)


 これはアホらしい話だ。WTC跡地にはフリーダム・タワーが建造された。要はトータルでの損得が問題である。
 著者のサイト『Skeptic's Wiki』にも、彼が得た保険金が45.5億ドル、フリーダム・タワーの所有権を港湾公社と分割、とある。

② ツインタワー崩壊のメカニズム

「それでは、WTCはどのようにして崩壊したのだろうか。
 当時の写真をよく見ると、火災によって弱まった鋼鉄製の梁がたるんで、外壁を内側に引っ張り込んでいる様子が見て取れる。WTC2が先に倒壊したのは、WTC1より下の階に旅客機が突入したため、火災により鉄骨が弱まり、上の階の重さに耐えられなくなったからなのである」(P179)


 これは悪質。ツインタワー崩壊のメカニズムが未解明であることに触れず、ごまかしているだけだ。

 …そしてだいぶあとになって、批判に答えない理由を長澤裕とASIOS会長の本城達也に尋ねたところ、両者で異なる答えが返ってくるというオチが付く。

近年のASIOS


 公式サイトから、若い理想に燃えたかつてのFAQは無くなった。「活動理念」が「FAQ」に格下げとなり、またかつての「自己修正の重視」の項目からは「懐疑論者」の文言が消える。

『私たちは、「間違いは修正すればよい」という価値観を、建前だけにせず、受けいれることも重視しています』
http://www.asios.org/asios/faq


 が、911だけでなく、例えば123便墜落事故について聞いても、やっぱり答えないじゃないか…
http://www.asios.org/revision3#comment-1923

 彼らの懐疑主義は、既に本を売るためのキャッチコピー程度のものに堕した。
 少数精鋭の懐疑主義団体・ASIOS のこの10年の活動は、皮肉にも、懐疑主義が幻想だと証明したのではないだろうか。

 はたして、文庫版『謎解き 超常現象』では「まえがき」や「あとがき」はどうなっているだろう。10年前のように書けるだろうか。
2019-04-17 : 『謎解き 超常現象』 : コメント : 0 :
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菊池誠、山本弘を騙す

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裸である王様から「この服どう思う?」と尋ねられて

「裸ですよ」と答えてはいけません
「立派な燕尾服ですね」と答えるのもいけません

ではどう答えるのか

「王様によくお似合いですよ」が正しい答えなのです
──────三田紀房『ドラゴン桜』


菊池誠が山本弘を騙す話


 久々の更新。今回は、菊池誠が山本弘を騙す様子を紹介する。長く彼らのニセ科学批判を信じてきた人にとっては、目を背けたくなるような話かも知れない。
 菊池誠は「911陰謀論」をニセ科学と考えていないが、そう考えているかのように山本弘を騙すのだ。
 

菊池誠は911陰謀論をニセ科学と考えていない


 菊池誠はニセ科学批判で知られた科学者だが、彼が「911陰謀論」をニセ科学と考えているのかどうか、長くはっきりしなかった。「ニセ科学の周辺問題」などと表現し、曖昧なままであった。
 だが、2016年のツイートにはこうある。これではっきりしたわけだ。

少なくとも僕は「ニセ科学」という言葉をかなり限定的に使っています。成り行きにより僕が一時期かなり力を入れなくてはならなかった「911陰謀論」も僕の分類では陰謀論であってニセ科学ではありません。周辺問題ではあると思う。ニセ科学じゃないけど、徹底的に批判したわけですよ
https://twitter.com/kikumaco/status/794718963930234881



山本弘は911陰謀論をニセ科学としている


 一方、山本弘は「911陰謀論」をニセ科学としている。2010年の著書『ニセ科学を10倍楽しむ本』で、「911陰謀説」を7ページに渡って取り上げている。
 なお、この本の冒頭には以下のようにあり、両者の「ニセ科学」の定義は共通している。

大阪大学の物理学者・菊池誠さんは、ニセ科学を「科学をよそおってはいるが、科学ではないもの」と定義しています。(P3)



mixi でのやり取り


 この食い違いを、『ニセ科学を10倍楽しむ本』の発売直後の2010年に、僕は mixi で指摘した。
 以下の「『ニセ科学を10倍楽しむ本』に突っ込みを」トピックの52~72である。
https://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=5102&page=2&id=51952873
 そう長くはないし、外野の書き込みも興味深いのでぜひ実際にリンク先を読んでほしいが、ここでは大幅に省略し、主要な部分だけを引用する。

[52] デミ
 菊池誠教授が「陰謀論」を「ニセ科学」とは見ていない、ということは指摘しておきます。

(『「ニセ科学」入門』から)
『「アポロは月に行かなかった」というのは陰謀論と してポピュラーなもので、(中略)これはいわゆる”陰謀論”である。広い意味では「ニセ科学」かも しれないが、本稿では対象としない』
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/nisekagaku/nisekagaku_nyumon.html

 これについては、僕も菊池教授の見解と同意見ですね。


838132067_136.jpg

[54] 山本弘
「陰謀論」という集合と「ニセ科学」という集合が、重なる部分はあるけどぴったり重ならないことは、誰の目にも自明だと思うんだけど?

 で、菊池先生は、「アポロ陰謀論は広い意味ではニセ科学かもしれないが陰謀論である」と言っているわけ。(上の図で、二つの円が重なり合った領域内の、陰謀論寄りに位置する)


[56] デミ
 文脈から判断するに、菊池教授のいう『広い意味では「ニセ科学」かもしれない』とは、次のような意味です。

「(”陰謀論”は)広い意味では「ニセ科学」かもしれないが、厳密な意味では「ニセ科学」ではない(ので、本稿では対象としない)」


[59] 山本弘
 うん、だからアポロ陰謀説や911陰謀説は、「陰謀論」であると同時に「ニセ科学」であるということですよ。54の図で言うと、円が重なり合っている部分に位置している。
 何か問題でも?


 菊池誠が「陰謀論はニセ科学ではない」と考えているのは最初から明らかだ。山本弘はバイアスに囚われ、奇妙な読み取り方をしているだけである。

 問題なのは、これに対する菊池誠のコメントだ。

山本弘の誤解を正さない菊池誠


[61] きくまこ
僕が答えれば解決ということでいいのですね

スティーブン・ジョーンズのナノサーマイトなんかは充分に「ニセ科学」的じゃないですか。でも、科学的でもなんでもないただの与太話もたくさん混じってますよね。
だから、911陰謀論をニセ科学として語るのもありだし、陰謀論として語るのもありです。

山本さんが書かれたとおり、「ニセ科学」と「陰謀論」には共通部分があるので、どちらの観点でも語れるんですよ。僕は、議論をわかりやすくするために、境界領域は別にすることが多いというだけの話です。
山本さんの本が「ニセ科学」という題で陰謀論を取り上げていても、おかしいとは思いませんし、事実、僕はニセ科学についての講演を頼まれると、ほとんどの場合、「ニセ科学の周辺領域」として911陰謀論とアポロ捏造論の話をします。

ちなみに、僕はこれまでに出した本で911陰謀論を批判しています


[62] デミ
>きくまこさん

 僕としてはとりあえず、論文『「ニセ科学」入門』にあるように、『「ニセ科学」という言葉を”見かけは科学のようでも、実は科学ではないもの”に限定して使』った場合は「陰謀論」は「ニセ科学」ではない、ときくまこさんが考えていることが分かれば十分です。


[66] きくまこ
デミ君がどう解釈しようが勝手ですが、山本さんの「ニセ科学」の本に911陰謀論が出ていてもなんらおかしいことはありません。


[68] 山本弘

>僕としてはとりあえず、論文『「ニセ科学」入門』にあるように、(中略)「陰謀論」は「ニセ科学」ではない、ときくまこさんが考えていることが分かれば十分です。

 61をどう読めばそうなるんじゃ(笑)。
 どうもデミ君は和集合という概念を根本的に理解できていないような気がしてきました。


>61をどう読めばそうなるんじゃ(笑)

 これには僕も同感だが、しかし上で見たように、菊池誠は陰謀論をニセ科学とは考えていない。それでありながら61の書き込みがある。

最後まで誤解を正さない


[71] きくまこ

デミ君は「白か黒か」の二分法でしか、ものを考えられないんでしょう。
911陰謀論は「ニセ科学であるか、さもなくばニセ科学でないか」の二択だと考えているようです。
でも、そもそも「ニセ科学」という概念自体、二択にできるような境界のはっきりしたものではないと思いますけどね。

ものごとの多面性というのはあるわけで、911陰謀論のどの面に着目するかで、さまざまな見かたができるのは当然ですが、そういう多様なものの見かたが苦手かもしれません。

陰謀論主張者は、基本的に「多様な見かた」が嫌いですけどね。


 繰り返すが、菊池誠は911陰謀論をニセ科学と考えていない。

[72] きくまこ

いずれにしても、僕の考えが争点なら

山本さんの「ニセ科学を10倍楽しむ本」に911陰謀論がとりあげられているのは、なんら不思議なことでもおかしなことでもないと思います

というのが僕の考えですから、それで解決でいいですよね


 こうして最後まで山本弘の誤解を正さない。
「僕は陰謀論をニセ科学と考えていないよ」と一言いえば済む話なのに…

「チェリーピッキングと印象操作による扇動はデマではない」という主張には同意できません。事実だけを並べて扇動することはできます。「何を語らないか」です。それはやはりデマゴーグのやり口だと思います 


なぜ騙したか


 この記事では、社会通念及び菊池誠自身の判断基準に従い、彼の行為を騙すと表現した。
 
 最後に、なぜ騙したかを考えてみよう。
 これは、スティーブン・ジョーンズの制御解体説が科学だからだ。だが「ニセ科学である」と誤解させたままでいたかったのだろう。


 <追記>
 まさにこの『ニセ科学を10倍楽しむ本』文庫化の際のイベントに、菊池誠が山本弘と横に並んで講演する。911についても語ったらしい。ああ、この関係性…
https://togetter.com/li/813164

2019-04-11 : Twitter : コメント : 0 :
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メディアリテラシーの練習問題


wtc5 sono
FEMA『WTC 4, 5, and 6』

「倒れたビルの数は7つです。これどのくらいの方がご存知かわかりませんが、7つ倒れています。つまりWTCはすべて崩壊しました。」
────菊池誠


菊池誠は何を語っているか


 今回は、菊池誠が実のところ、911について何を語っているかを考えてみよう。
 菊池誠は、ネット・著書・講演などで、「911陰謀論」の批判らしきことはしている。だがそれらは、あいまいな表現で実際に何を言わんとしているのか分かりにくい、というものが多い。物理学者として、科学や物理学の視点から発言しているものが一つでもあるだろうか。
 一番しっかりと語っているのは著書『科学と神秘のあいだ』、あるいは2011年3月に開催された「911事件を検証する公開討論会」での発表だろう。だが、これらも実際には果てしなく微妙だ。
 ではまず、ネットの記述から検証していこう。

Twitter、blog


 まず、以前の記事でも触れた Twitter での発言から。これはプロフィールで「主にみもふたもないこととでたらめをつぶやきます」と宣言しているので論外だ。この「でたらめ宣言」は、菊池誠の発言に触れる際、その根底にある「設定」に注意する必要があることを教えてくれる。

 次に、現在は閉鎖された菊池誠のブログ『kikulog』。記事一覧が以下だ。911について語ってはいるものの、それはもう見事なまでに何も言っていない。
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.html#

 一例を挙げれば、制御解体説を唱えているスティーブン・ジョーンズに関する記事が以下である。雰囲気のみとしか言いようがない。
『Steven Jones』
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/200709.html#1190390847
 

論文


 論文について。菊池誠は911に関する論文は書いていない。
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/

 以前、日本科学者会議が出版する『日本の科学者』という雑誌上で、「911陰謀論」の議論が発生したことがある。通説派の南雲和夫の論文に対し、通説懐疑派の戸田清・成澤宗男の反論が掲載されたところで話が終わっているが、菊池誠がこれに反論することはなかった。
http://ad9.org/people/science/toda-narusawa-JJS2010.pdf

講演


「911事件を検証する公開討論会」での講演について。これは、2011年3月に「市民社会フォーラム」という団体の主催で行われた討論会だ。通説派から菊池誠、通説懐疑派から きくちゆみ・西牟田祐二が参加した。

 菊池誠の講演の動画。



 この討論会で菊池誠が使用した資料は、この資料の末尾にあるものだ。細かい部分で異なるものの、これとほぼ同じものである。
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/presentation/2011JSAsymposium.pdf

 注意してほしいのは、これは「メディアリテラシーの練習問題」であることだ。菊池誠はこの資料を基に話をしている。そして、そう断っている。

「メディアリテラシーの一つの、ま、練習問題みたいなものだろう、という風にもとらえて…練習問題というと怒られるかも知れないんですけれども。それでですね…」(1:25)

「本題に入りたいと思いますけれども、メディアリテラシーの練習問題ということなんですけれども」(4:45)


 この講演、菊池誠は、確かにいろいろしゃべってはいる。言った通りの主張をしている部分もあるだろう。
 だが、これは基本的に「練習問題」なのだ。「主にみもふたもないこととでたらめをつぶやきます」と宣言した Twitter とよく似たやり方である。

 この講演での発言についてはいずれ別に記事を設けて検証するとして、ここでは「練習問題」の例を一つだけ挙げよう。菊池誠は講演の最初にまず、「911ではビルは7つ崩壊した」という話をする。

「倒れたビルの数は7つです。これどのくらいの方がご存知かわかりませんが、7つ倒れています。つまりWTCはすべて崩壊しました。」(5:30)
https://youtu.be/Etkv21hdeAk?t=330 


 ここはぜひ、動画で観て頂きたい。ビシッと格好良く言っている。
 が、講演の後半できくちゆみらにつっ込まれ、あっさり言を翻す。

「(WTC3・4・5・6が)どれだけ崩壊したかっていうと、僕もそこまで詳しくは知らないんですけれども」(49:50)
https://youtu.be/3F71vUu-U88?t=2980 

 
 実際にはWTC5なんてほとんど崩れていない。菊池誠の言っていたのが自己の主張であるなら、よく調べずにデタラメを言ったということだ。だが「練習問題」であれば、デタラメを言っても許される。
 僕は後者が正しい見かただと思う。何故なら「メディアリテラシーの練習問題」と断っているからだ。ゆえに「詳しくは知らないよ」と言を翻しても、平気な顔をしていられるのだろう。
 聴衆の多くはおそらく、そうは受け取らず、言葉通りの意味だと考えるだろう。だが「練習問題」と断っている以上、その誤解をわざわざ解いてやらなねばならぬ義務はない、というわけだ…

「メディアリテラシーの練習問題」などと断った資料や演説など、評価できない。
『日本の科学者』のような雑誌に「でたらめを書きます」「これは練習問題です」などと断った論文が掲載されるはずもない。「お前は何を言ってるんだ」と鼻で笑われて終わりである。我々もそうすべきなのだ。

 さて、最後に残った「著書」については、次回の記事に書くとしよう。
2018-02-10 : 911事件を検証する公開討論会 : コメント : 0 :
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デミ

著者:デミ

 これまで主にmixiで911の議論をしてきましたが、この度ブログを開設しました。よろしくお願いします。

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