NIST・FAQ にある嘘と、それに対するmixiの「懐疑論者」の反応

「人々は村八分にされることを恐れます」
https://www.youtube.com/watch?v=aYUBOcA9L74
NIST・FAQ
今回は、NIST報告書のFAQの間違いと、それを目の当たりにしながら何も見なかったように振る舞う「懐疑論者」の反応について書こう。
2005年にツインタワー崩壊に関するNIST報告書が公表され、その翌年、そのFAQという文書が発表された。当初は14項目のFAQがあったが、2011年には34項目に増えた。
https://www.nist.gov/topics/disaster-failure-studies/faqs-nist-wtc-towers-investigation
だがこのFAQ、内容がメチャクチャなのだ。
かつてmixiで、このFAQの内容について議論があった。結果として分かったのは、FAQに故意の嘘が書かれていたということである。
問題の項目と日本語訳
今回取り上げるのは、現在のFAQの第11項目である。引用しよう。
11. How could the WTC towers collapse in only 11 seconds (WTC 1) and 9 seconds (WTC 2)-speeds that approximate that of a ball dropped from similar height in a vacuum (with no air resistance)?
NIST estimated the elapsed times for the first exterior panels to strike the ground after the collapse initiated in each of the towers to be approximately 11 seconds for WTC 1 and approximately 9 seconds for WTC 2. These elapsed times were based on: (1) precise timing of the initiation of collapse from video evidence, and (2) ground motion (seismic) signals recorded at Palisades, N.Y., that also were precisely time-calibrated for wave transmission times from lower Manhattan (see NIST NCSTAR 1-5A).
As documented in Section 6.14.4 of NIST NCSTAR 1, these collapse times show that:
"The structure below the level of collapse initiation offered minimal resistance to the falling building mass at and above the impact zone. The potential energy released by the downward movement of the large building mass far exceeded the capacity of the intact structure below to absorb that energy through energy of deformation.
Since the stories below the level of collapse initiation provided little resistance to the tremendous energy released by the falling building mass, the building section above came down essentially in free fall, as seen in videos. As the stories below sequentially failed, the falling mass increased, further increasing the demand on the floors below, which were unable to arrest the moving mass."
In other words, the momentum (which equals mass times velocity) of the 12 to 28 stories (WTC 1 and WTC 2, respectively) falling on the supporting structure below (which was designed to support only the static weight of the floors above and not any dynamic effects due to the downward momentum) so greatly exceeded the strength capacity of the structure below that it (the structure below) was unable to stop or even to slow the falling mass. The downward momentum felt by each successive lower floor was even larger due to the increasing mass.
From video evidence, significant portions of the cores of both buildings (roughly 60 stories of WTC 1 and 40 stories of WTC 2) are known to have stood 15 to 25 seconds after collapse initiation before they, too, began to collapse. Neither the duration of the seismic records nor video evidence (due to obstruction of view caused by debris clouds) are reliable indicators of the total time it took for each building to collapse completely.
https://www.nist.gov/topics/disaster-failure-studies/faqs-nist-wtc-towers-investigation
議論になったのは、これをどう解釈するかだ。理解を助けるために、一応の日本語訳(非公式)があるのでそれを紹介する。
6. 11秒(WTC1)や9秒(WTC2)そこらで――その速さは、真空(空気抵抗なし)で同様の高さからボールが落下する速さに相当する――、どうやってWTCタワーが崩壊できるのでしょうか?
NISTは、崩壊開始から外壁パネルが最初に地面に衝突するまでの経過時間を、WTC1で約11秒、WTC2で約9秒とそれぞれ見積もりました。これらの経過時間の基にしたのは、(1)ビデオ証拠から崩壊開始の正確なタイミングと、(2)ニューヨーク市パリセーズで記録された地殻振動(地震)信号です。ロワー・マンハッタン(NCSTAR1-5A参照)から振動波の伝達にかかる正確な時間測定も行われました。
NIST NCSTAR 1のセクション6.14.4に記載されているように、これらの崩壊時間は以下のことを示しています。
「…崩壊を開始した高さより下側の構造は、衝突ゾーンから上側の落下するビルの質量に対してほとんど抵抗できませんでした。大規模なビルの質量の落下運動によって解放された位置エネルギーは、下側の無傷の構造が変形エネルギーで吸収できる能力をゆうに超えていました。
崩壊を開始した高さより下側の階が、落下するビルの質量によって解放されたすさまじいエネルギーに対してほとんど抵抗できなかったため、ビデオで見られるように、ビルの上層部は基本的に自由落下で崩れました。下側の階が連続して潰れ、落下する質量が増大するにしたがって下層フロアに対する要求はさらに増大していったため、それは質量の落下を阻止しえなかったのです。」
言いかえれば、下層の支持構造(それは、まさに上層のフロアの静止重量を支持するために設計されたのであって、落下運動量による動的な影響を支持するようには設計されていない)に向けて落下する12階から28階分(それぞれWTC1とWTC2)の運動量(=質量×速度)は、下層の構造の強度耐性をはるかに凌駕していたため、それ(下層の構造)は質量の落下を止めることができず、もしくは遅くすることさえできませんでした。連続する各下層フロアが受ける落下運動量は、質量が増加するにつれ、さらに大きくなりました。
ビデオ証拠から、双方のビル(WTC1のおよそ60階とWTC2の40階)の中心にある重要な部分は、崩壊開始後それらが同じように崩壊するまで、15秒から25秒間立ってことがわかっています。地震記録の持続時間もビデオ証拠(残骸によってできた雲による視界不良のせいで)も、各ビルが完全に崩壊するのにかかった総時間の指標としては信頼できません。
https://web.archive.org/web/20161111100412/http://www.geocities.jp/sazanami_tsushin/readers/0609/r0609_19.html
mixi での議論
この解釈について、かつて mixi で議論があった。2008年、『懐疑論者の集い-反疑似科学同盟-』コミュニティ。ここは当時、日本のインターネットの中心であったmixiにおいて、懐疑主義・ニセ科学批判などの総本山的な場所であった(今は見る影もないが)。
https://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=70043&page=2&id=32743209
議論の全てを引用すると長くなるので、興味のある方は実際にリンク先を見て頂きたい。ここでは経緯をかいつまんで説明する。
当ブログ管理人(デミ)が、「911トピック その4」を建てた。そしてトップの説明文を以下のようにした。
「なぜWTCはわずか10秒で崩れ去ったのかしら?」
──────911の被害者の遺族、モニカ・ガブリエ
その後、この「10秒」という数字は適切か、という議論が起こる。
僕は、NIST・FAQにツインタワーの崩壊に要した時間として「9秒・11秒」の記載があるため、適切だとした。それに対する反論として、 Getzenさんの86にNIST報告書から以下の一文の紹介、および Yossyさんの97の日本語訳があった。
Times listed in Table 3-1 for the collapses of the two towers based on the television records and the revised LDEO analysis appear to differ significantly.
These differences are likely due to different definitions used for the collapse times.
The times based on visual analysis refer to the time when the collapse of a tower first become evident, while the times based on seismic records likely indicate the time when the falling debris first struck the ground.
The differences between the two times were estimated to be approximately 9 s for WTC 2 and approximately 11 s for WTC 1 based on videos of the collapses.
When the times required for falling debris to reach the ground are subtracted from LEDO times, the collapse times also agree within the reported uncertainties. (P23)
https://www.nist.gov/publications/visual-evidence-damage-estimates-and-timeline-analysis-chapters-1-8-federal-building?pub_id=101356
表3-1に示された2つのタワーの崩壊時刻は、テレビの記録に基づくものと修正されたLEDO分析に基づくものでは、有意に差があることが分かった。
これらの相違はおそらく、崩壊時刻の定義が異なることが原因だと考えられる。
画像解析に基づいた崩壊時刻は、タワーの崩壊が始めて明確になった時を参照している一方、地震計の記録に基づく崩壊時刻はおそらく、降り注ぐタワーの破片が最初に地面を打った時刻を示していると考えられる。
崩壊の映像に基づき、この二つの時刻の差はWTC2でおよそ9秒、WTC1でおよそ11秒だと推定された。
破片が地面に落ちるまでにかかる時間をLEDOの時刻から差し引くと、崩壊時刻は報告された誤差の範囲に収まる。
僕(デミ)はこれを認め、「9秒・11秒」はビルの崩壊に要した時間ではなく、”The differences between the two times”だとした。
だが、それでもこのFAQの文章は意味が通らない。結局、僕は以下のように結論する。
[138] デミ
ツインタワーの崩壊が10秒で完了したという記述はありませんが、”the building section above came down essentially in free fall”という記述があります。
また、FAQの記述にある鈎括弧付きの引用部分を「具体的なビル崩壊の様子」と書きましたが、「ツインタワーの崩壊が速やかであったことの説明」をしている、といった方が正確ですね。またその文中にある”the building section above came down essentially in free fall, as seen in videos”の説明をしている部分だ、といってもいい。
”these collapse times”=”The differences between the two times”すなわち「11秒・9秒」が、「ツインタワーの崩壊が速やかであったこと」や”the building section above came down essentially in free fall, as seen in videos”を示す、とNIST・FAQが書いているならば、それは同時にFAQの項目にあるそもそもの問い
”How could the WTC towers collapse in only 11 seconds (WTC 1) and 9 seconds (WTC 2)―speeds that approximate that of a ball dropped from similar height in a vacuum (with no air resistance)?”
への回答でもあります。(中略)
自由落下に近似できるような時間になった理由は、「11秒・9秒」が”The differences between the two times”であり、ビルの崩壊時間を示すものではないからですよね。何故NISTはそのように説明しないのでしょうか?
そもそも「9秒・11秒」はツインタワーの崩壊時間を示すものではないのに、NISTはFAQの項目の質問と同様の誤解をして回答しているのだ、と僕は思います。あるいは単に「訳の分からないことを言っている」。
これで決まりのはずだが、Yossyさんは自身の間違いを認めようとせず、しばらく新解釈を書き込んだりしていた。だがそれに支持者が現れるに至って、5日後に渋々間違いを認める。
[227] Yossy
>208 G@回転中さん
すいません。他のFAQについては全く目を通していなかったので、私の希望的な解釈が意図せず混ざってしまったようです。
改めて訳文、及び原文に目を通し、そのトンチキさに笑ってしまいました。
そう、そもそもこのFAQは悪名高いのだ。英語圏ではさぞかし馬鹿にされていることだろう。
議論の決着はついた。
しかし、これで話は終わらないはずである。本来ならば。
故意でしかありえないのは明白だが
NIST・FAQに間違いがあるということはあまりにも深刻な問題だ。それは故意でしかありえないからだ。NISTのような組織の公式発表で、初歩的なイージーミスはありえない。
すなわち米政府がツインタワーの崩壊について、故意にデタラメを言っているということを意味する。
これは明白なはずである。しかし、誰も言わない。誰一人としてそれに言及しない。よく「多数の人間を黙らせることは不可能だ」などと言うが、しっかり皆さん黙っていらっしゃるじゃないか…
そしてどういうわけか、問題など何も無かったことになる。そしてわずか3か月後、僕は管理人により、コミュニティを強制退会させられるのである。
参考文献にすらされている
さらに話は続く…
上記の議論は2008年のできごとだ。その後日本における「911陰謀論批判」は、全てこれを踏まえた上でしていると言っていい。だが誰もこの嘘に言及しない。
…山本弘など、2016年の『Rikatan』誌の911陰謀論批判記事で、このNIST・FAQを参考文献とし
「11秒と9秒というのは、外壁から剥がれ落ちた部分が地上に激突するまでの時間である」(P62)
などと語っているのだ!
「確かに矛盾はあった。しかし矛盾など私は見なかったしそんな事は有り得ない、いいね?」
──────二重思考/ダブルシンク
https://www49.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/27995.html