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───菊池誠、山本弘、長澤裕など、日本の「911陰謀論」批判者たちの言っていることは正しいか

『RikaTan』の記事⑥ 遺体をペンタゴンの現場にばら撒いた?


 今回は『RikaTan』の記事から、山本弘の考える9つの「代表的な陰謀説」のうちの8番目を取り上げる。「ペンタゴンに突入したのがAA77便でないなら、乗客の遺体はどこから来たのか?」という疑問である。

⑧本物のアメリカン航空77便は、どこかの軍事基地にこっそり着陸させられた。乗員乗客は全員殺され、その死体はばらばらされて焼かれ、ペンタゴンで発見されたかのように偽装されたのだ。


 この「偽装」とはどういうものか。山本弘『ニセ科学を10倍楽しむ本』の記述が詳しい。

パパ「本物のアメリカン航空77便は、どこかの軍事基地にでもこっそり着陸させられて、乗員乗客は全員殺されて遺体を焼かれた。その黒こげの遺体を、何者かがこっそりペンタゴンの現場に持ちこんでばらまいた……というんだ」
夕帆「回りくどい!(笑) それだったら旅客機をぶつけたほうが早いじゃない。(略)」(P300)


 ……おかしな話である。あまりにもおかしな話だ。こんなことを言っている奴はいない。
 夕帆ちゃん、残念だけどそれはパパの嘘なんだ。

元ネタ


 この話の元ネタはおそらく、2008年11月「911真相究明フォーラム in OSAKA」での、グリフィン教授の以下の発言である。『Skeptic's Wiki』から引用しよう。

そういえば、まだ遺体に関する質問に答えてなかったね。もちろん遺体はあったさ。殺された125人のペンタゴンで働いていた人たちの遺体が。しかし、飛行機に乗っていた誰かがペンタゴンで死んだという証拠を我々は持ち合わせていないんだ。われわれが知っている唯一のことは、飛行機からの遺体とペンタゴンからの遺体は陸軍の病理学研究所に現れたということだ。しかし、それらの遺体がFBIと軍によって運ばれてきたということは不則なことだった。遺体はペンタゴンから別の建物に移され、そして病理学研究所に運ばれてきた。よって、その中継となった建物に飛行機からの遺体はどこか別の所から運ばれてきたかもしれないのだ。そして病理学研究所の人々はそれらの遺体はペンタゴンから来たと推測しただけかもしれない。


元の音声記録(訳の仕方が異なる) (54:30~)
https://www.corbettreport.com/mp3/20081101_griffin_afternoon_lecture.mp3


 つまり、乗客の遺体は「輸送の途中で加えられた」ということだ。山本弘の言うように「ペンタゴンの現場に持ち込みバラ撒いた」という話ではない(当たり前だ)。

自覚的な嘘


 山本弘は嘘を言ったのだ。あまりにも嘘くさ過ぎるから、『RikaTan』では「偽装した」とぼやかして書いたのだろう。嘘の自覚があるのだ。
 その他本やブログなど、あちこちで同じことを言っている(「論理盲」のひとたち))。自分の嘘を元に他者を批判する。馬鹿らしい話である。




2019-08-03 : 『RikaTan』 : コメント : 0 :
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『RikaTan』の記事⑤ 「融けた鉄」について その1

image004.jpg

「下に降りてみると、融けた鋼鉄が見えます。
融けた鋼鉄が溝のようになったところを流れ下っています。
鋳物工場とか、火山の溶岩のような…」
───グラウンド・ゼロで働いた消防士 Philip Ruvolo


引用


 今回は『RikaTan』2016年12月号の「911陰謀論」の批判記事「9.11 テロはアメリカ政府の自作自演?」から、著者・山本弘による「代表的な陰謀説」9項目のうち、④の「融けた鉄」の問題を取り上げる。
 当該の箇所を引用する。④と付いている上の文が「陰謀説」、その下の文が山本弘による反論である。

④公式説では、火災の熱でビルの鉄骨が融け、崩壊したことになっている。だが、これは嘘である。鉄の融点は1535度だが、ジェット燃料の燃える温度は1200度だから、鉄が融けるはずがない。

「火災の熱で鉄骨が融けた」と言っている専門家など一人もいない。ビルが崩れるのに、鉄が融点に達する必要はない。温度が上がると金属は柔らかくなる。鉄の場合、600度ぐらいで強度は半分になるのだ。


 ここは少々端折りすぎの感がある。より分かりやすく書かれている山本弘の著書『ニセ科学を10倍楽しむ本』から、「融けた鉄」に関する部分を引用しよう。(※)

パパ「(前略)たとえば、WTCがくずれ落ちたのは、大型旅客機が衝突したことによるダメージに加えて、ジェット燃料に火がついてはげしい火災が起きたためだ。何時間も続いた火災で、鉄が熱くなってやわらかくなったために、ビルの重みをささえられなくなったんだな。
 ところが陰謀論者はこう言っている。『鉄の融点(固体が溶けて液体になる温度)は1535度だ。ジェット燃料の燃える温度は1200度だから、鉄が溶けるはずがない』……。
 これはまったくデタラメな説だ。ビルがくずれるのに、鉄が融点に達する必要なんかない。温度が上がると金属はやわらかくなる。鉄の場合、500度ぐらいになったら、強度はがた落ちになって、変形しはじめるんだよ」

夕歩「だれか陰謀論者にそれを教えてあげないの?」

パパ「言ってるよ、何年も前から。でも陰謀論者はそれに耳を貸さない。そんな反論なんかなかったかのように、『鉄が溶けるはずがない』といい続けてるんだ。(後略)」(P300)


 つまり、『RikaTan』でもこういうことを言っているわけだ。

(※ちなみにこの引用部分は間違いだらけ。火災は「何時間」も続いていないし、崩壊仮説の説明も間違っているし、ジェット燃料の燃焼温度は最高で980度だし、火災は主にビル内の可燃物によるものだし、『RikaTan』の方で「600度ぐらいで強度は半分になる」と書いているように500度で鉄の強度は「がた落ち」にはならないだろうが、いちいち指摘していては話が進まないので、ここでは扱わない)


山本弘の勘違い


 では反論を始めよう。
 WTCビル崩壊に関する米政府の公式説明は、NISTという機関によるもので、火災によってビルの床を支える鉄骨が柔らかくなってたわみ、周囲の支柱を引き込むことで崩壊が始まったとするものである。一方、人為的爆破による制御解体説を唱えているのは、物理学者のスティーブン・ジョーンズだ。論文『本当はなぜWTCビルが完全に崩壊したのか?』で、「政府提供の報告書に異議を唱え、制御解体説を調査すべき13の理由」を挙げている。そのうち、「融けた鉄」の話はいの一番に挙げられている。「1. 融解した金属:流動的でプールを形成」である。
http://www17.plala.or.jp/d_spectator/sejones/jones2007j24_743_index.html

 非常に長文で詳細に書かれているが、内容を簡単にまとめれば、融けた鉄の写真・動画・証言などがあり、さらには公式に報告もされており(FEMA報告書)、融けた鉄が存在したと考えられるということである。そして「火災で鉄は融けないのに、融けた鉄があるのはおかしいね」ということである。
 …山本弘はこの論文を読んでいない(後述する)ため、これを「火災の熱でビルの鉄骨が融け崩壊した」と言っていると勘違いしているのである。彼は、自分の頭の中で作り上げた幽霊と戦っているだけなのだ。

 参考に、目撃証言や科学者による報告など。


山本弘はジョーンズの論文を読んでいない


 ジョーンズの論文は制御解体説そのものである。最も基本になる文献、スタートラインである。だが、山本弘はジョーンズ論文を読んでいないのだ。mixi でやりとりをした際の発言を引用しよう。

 デミさんによれば、スティーブン・E・ジョーンズはこういう発言をしているのだそうです。


 こう言って僕(デミ)の発言から孫引きする。どうしても読みたくないらしい。mixiではこの後も「融けた鉄」の話をしたが、やはり読もうとせず、僕がジョーンズ論文から大量の文章をコピペする様子が見て取れる(563・564・584)。
「読んでないから知らないよ」ということにしたいのだろう。何ともレベルの低い話である。まるで自分が目をつぶっていれば相手からも見えないと信じてかくれんぼをする、小さな子供のようだ。

 また以前の記事で書いたように、山本弘はデヴィッド・レイ・グリフィンの本を読んでいない。彼はジョーンズの論文も読まず、グリフィンの本も読まずに、「911陰謀論批判」をしているのである。

2017-11-30 : 『RikaTan』 : コメント : 1 :
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『RikaTan』の記事④ ペンタゴンの目撃証言・その1


 今回は『RikaTan』2016年12月号の記事「9.11 テロはアメリカ政府の自作自演?」から、著者・山本弘による「代表的な陰謀説」9項目のうちの⑥、ペンタゴン突入機の目撃証言を取り上げる。今回はそのうち、マイク・ウォルターの証言に焦点を当てる。


ペンタゴン突入機の目撃証言の「陰謀説」と、山本弘による反論


 マイク・ウォルターの証言の部分を『RikaTan』から引用しよう。まず「陰謀説」がこうである。

⑥『USAトゥデイ』の記者マイク・ウォルターは、事件当時、ペンタゴンのすぐ西側の27号線を車で走っていて事件を目撃した。彼は「まるで翼のついた巡航ミサイルのようでした」と証言している。すなわち、ペンタゴンにぶつかったのはボーイング757型機ではなく、巡航ミサイルだったのだ。


 それに対する山本弘の反論が以下である。

 実際にはウォルターはそのインタビューの前半部分で、「アメリカン航空のジェット機が飛んでくるのが見えました」とはっきり言っている。それがペンタゴンにまっすぐ衝突する様子を巡航ミサイルにたとえていたのだ。


 実際のインタビューの様子は youtube にある(英語)。
https://www.youtube.com/watch?gl=JP&v=t1wQ2BJsgx0

 この話は山本弘の「911陰謀論」批判の定番で、彼の著書『ニセ科学を10倍楽しむ本』やネットで、同様の発言を繰り返している。
 

マイク・ウォルターは911の翌日、発言を修正した


 だが実際にはこの証言者マイク・ウォルターは、翌日、発言を修正しているのだ。デヴィッド・レイ・グリフィン著『9・11事件は謀略か』から、その部分を引用しよう。

当初アメリカン航空機がペンタゴンに激突するのを見たと主張した目撃者が質問されるとその主張を引っ込めた──それは『USAトゥデイ』のマイク・ウォルターの場合で、CBSでブライアント・ガンベルによってインタビューされたときのことである。(P101)


 この部分について、同書の注釈にはこうある。

As mentioned in note 11, Walter at first said that it was like "a cruise missile with wings." He also made conficring statements about whether he saw the aircraft(whatever it was)hit the Pentagon. The first question from him indicate that he did not--htat the aircraft disappeared from his view behind a hill, after which he heard the explosion and saw the ball of fire. When he was interviewed by Bryant Gnmbel on CBS September 12, he first said that he saw an American Airlines jet and saw it hit the Pentagon. Under questioning from Gumbel, however, he said that his view was obstructed. An hour later on NBC, he repeated this latter affirmation, saying:"It kind of disappeared over this embankment here for a moment and then a huge explosion."(P400)


 グリフィンの本にあるこの部分は、ジェラード・ホルムグレンの調査による。彼の仕事は以下のサイトにあるので、興味のある方はそちらを参照してほしい。
"Did F77 hit the Pentqagon? Eyewitness accounts examined."by Gerard Holmgren
https://www.indybay.org/newsitems/2002/06/05/1315201.php

 ちなみに、このデヴィッド・レイ・グリフィン『9・11事件は謀略か』は、『The New Pearl Harbor』の日本語訳。911の疑問を扱った、おそらく世界一有名な本である。…山本弘は読んでいないのだ!


「ペンタゴンへの飛行機の衝突」の目撃者ではない


 マイク・ウォルターの証言の変化を簡単にまとめるとこうなる。

「飛行機がペンタゴンに衝突するのを見た」
  ↓
「低空飛行をする飛行機を見た、その後ペンタゴンで爆発があった」

 つまり、飛行機がペンタゴンへ衝突する瞬間は見ていないのだ。彼は「ペンタゴンへの飛行機の衝突」の目撃者ではない。


2017-11-12 : 『RikaTan』 : コメント : 0 :
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『RikaTan』の記事③  「犯人の心理」を考えることが論理的であるとする山本弘の愚かさ


 当ブログ第3回目の記事は、これまでと同じように、『RikaTan』誌2016年12月号の記事「9.11 テロはアメリカ政府の自作自演?」(山本弘)について書く。今回はその結論部分、911が米政府の陰謀か否かを考える際に、陰謀者の心理を考えることが基本的・合理的・論理的であるとする山本弘の主張を検証しよう。

 結論から言えば、この主張は愚の骨頂だ。科学や論理の否定以外の何物でもない。


山本弘の主張


 記事から結論部分を引用しよう。少々長いので二つに分割する。

他にも陰謀論者の想定する「同時多発テロの真犯人」の行動は矛盾だらけである。旅客機をビルにぶつけるだけでいいはずなのに、なぜかわざわざ手間をかけて爆弾を仕掛けて解体する。ニューヨークを攻撃するだけでいいのに、なぜかペンタゴンも攻撃して大勢の軍人を殺傷する。なぜか旅客機ではなく巡航ミサイルをペンタゴンにぶつける。飛行機から電話はかけられないのに乗客からの電話を偽造する……。どれもこれも露見する危険性を高めるだけの無意味な行為である。(P67)


 こういった個別の問題については、いずれ別の記事で検証する。今回取り上げるのは続く結論部分だ。
 

 しかし、こういった基本的疑問をぶつけても、反応は薄い。それらが矛盾であることを、陰謀論者はどうしても理解できないらしい。
 彼らと何度も議論した経験から言わせてもらうなら、彼らの共通点は想像力の不足である。とりわけ「他人の立場になって考えてみる」という能力が決定的に欠けている。他人の心理が理解できないから、犯人の心理を完全にブラックボックス化し、合理的に解釈することを最初から拒絶しているのだ。
 彼らを論理で説得するのはまず不可能である。なぜなら彼らは、正しい論理を理解できないだけでなく、自分が論理を理解できないこと自体を理解できていないのだ。だから、「それは論理的にありえないでしょう?」といくら力説しても、馬耳東風なのである。


 911が米政府の陰謀か否かを考えるとき、犯人の立場になって考え、その心理を考えることが基本的・合理的・論理的である……のだそうだ。犯人の心理に基づき「それは論理的にありえないでしょう?」と言って良いのだそうだ。つまり、それをもって各種証拠や科学的検証を否定してよい、ということである。
 記事では、まず「代表的な陰謀説」9項目を挙げ、それを否定することで911の検証しているように見える。しかし人間の心理を基本としているのだから、そんなものはそもそも必要すらなく、書く順番が倒置されているだけである。
 これは曲解ではない。何度読んでもそう書いてあるし、記事の副題にも「陰謀論者は他人の立場で考えられない」とある。


望ましい考え方


 次に、望ましい考え方、正しい考え方をする人たちの言葉を引用しよう。

 これらの競合する理論(※アルカイダ犯行説と米政府共犯説)のどちらを受け入れるかは、どちらのほうが関連する事実によってより強く支持されているとわれわれが信じるかに依存する。あるいは少なくとも依存すべきである。

デヴィッド・レイ・グリフィン
『9・11事件は謀略か』P42


 これが正しい。考察の基本は事実であるべきだ。
 次に同書の序文、リチャード・フォーク(ブリンストン大学教授、専門は国際政治学など)による同書の評から。

 『9・11事件は謀略か』をそれほどまでに特別な本にしているのは、それが最も微妙で論争を巻き起こす領域――九月十一日の悲劇にかかわる政府高官たちの行動の広範な見取り図――をアカデミックな公平さの最良の精神で、最強の学究的美徳――どこであれ証拠と理性が導くところまで追究をすすめる意志――を示しながら探求されているということである。(P5)


 これが望ましい態度だ。結果がどこに行き着こうと、証拠に基づき考察を進めるべきである。

 そしてどんな科学的な行為でも、結局は仮説を証明する証拠を集めることだということにみんな同意するでしょう。そしてもしその証拠が仮説と矛盾するなら、それを捨てて別の仮説を探さなければなりません。

リン・マーギュリス
https://www.youtube.com/watch?v=I6jeg1i0WtE


 これはWTC崩壊の調査に関連して語ったものだが、これが正しい。これに同意できない人間がいるのだから、マーギュリス女史もさぞ驚かれるだろう。
 最後に、ネットの書き込みから。『さざなみ通信』というサイトへの「無党派通行人」氏の書き込みを2つ。いずれも最初の一文は山本弘と同じような考え方をしている別の人物の発言であり、それに対するレスである。

>4、自然で合理的な推測
 ビルやペンタゴンに、飛行機が突っ込んだばかりでなく、爆薬でも破壊されたのだとしたら、なぜそんなことをするのでしょう? 自作自演なら、WTCやペンダゴンに飛行機が突っ込むだけで十分でしょう。爆薬で爆破したら、自作自演の証拠を残すことになりますよね。―― このように推測するのも、これまた「ごく自然で合理的」なものです。


 実際の証拠を知らないあるいは検討していない段階での推測や予断と、実際に得られた証拠の取り扱い方が倒錯しています。
 まず、実際の証拠を知る前は、推測や予断の範囲外 (思いつきにくいこと) は仮説への制限となり得ますが、いったん何らかの証拠が得られたら、たとえ事前の推測や予断の範囲を逸脱するとしても、その証拠を無理なく説明するか、少なくとも矛盾しないように説を組立てなければなりません。
 さもなければ、その説は証拠に反する妄想あるいはトンデモ?になります。


>だいたい制御解体説をとるなら、いつ誰がどうやって誰にも気づかれずに大量の爆薬や導線をしかけたのか説明できなければなりませんし(米国政府は万能か!?)、なぜ主要な構造部分を爆破しさえすればよいものを、あえて爆薬のみならず、わざわざ支柱の耐火被覆をはがしてテルミット等を設置して溶かしたのかも説明できなければなりません(米国政府は労力をかけてる割にどこか抜けている!?)。ちょっと考えればいかに馬鹿馬鹿しい説明であるか、誰にでもわかるでしょう。


 何だか当初の先入観から1ミリも進歩していませんね。
 まず、やや抽象的になりますが、以前にも述べたようにWTCの崩壊現象は物理・化学的現象なので、その考察に先入観や周辺状況の解釈は何の影響も与えない一方で、考察によって確立された結果が逆に先入観を修正したり周辺状況 の解釈の仕方を制限することが一つ。


 全くその通りだ。証拠に基づいた考察により導かれた結論が、「犯人の心理」など周辺状況の解釈の仕方を制限するのである。


山本弘は実際に証拠を検証していない


 人間の心理を考察の基本に置くならば、証拠の検証など必要無くなってしまう。山本弘はそう書いているのだから、当然そうしているのだろう。実際、彼は911の疑問点の検証をほとんどしていないのだ。
 いずれ詳しく記事にするつもりだが、彼はスティーブン・ジョーンズの論文は読もうとしないし、グリフィンの本も読んでいない。記事の参考文献にもなっていない。また以前記事に書いたように、ツインタワーの崩壊について物理の知識の無いまま「常識」で判断してもいる(それらはもちろん、人間の心理を考慮した、彼にとっての正しい論理である)。
 ついには、講演でこんな発言すらしている。

 会場で菊池先生も言ってたけど、あれほど大きな事件だと、膨大な情報が飛び交っている。当然、間違った情報や、互いに矛盾する情報もある。でも、それらすべてを調べて論破するのは、ものすごく労力が要る。
 だからもうどこかで「やっぱり陰謀なんかないよね」と納得するしかないわけである。そうしないと無限に疑い続けなくちゃならなくなって、話が終わらないから。



結論


 たとえどのような結論が導かれようと、事実に基づき論理的に考察を進めるべきであり、その結果得られた結論が「犯人の心理」の理解の仕方を制限する。これが「犯人の心理」を考えるにあたっての正しい論理である。

 山本弘が「彼らと何度も議論した経験から言わせてもらうなら」と書くその相手の一人は僕(管理人)である。今回書いたようなことは、もう10年も前から繰り返し言っているのだ。だが彼はどうしても理解できないらしい。これは資質の問題だろう。

「自分が論理を理解できないこと自体を理解できていない」のは山本弘の方である。それゆえに、いくら証拠を突き付けても、例えばWTC崩壊の物理的な疑問を示しても、馬耳東風なのだ。無知と愚かさゆえに正しいことを言っている人間を馬鹿にしているのだから、もはや「馬鹿には見えない綺麗な服」を着ていると信じ町を練り歩いているも同じである。

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2017-10-16 : 『RikaTan』 : コメント : 11 :
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『RikaTan』の記事②  「ツインタワー崩壊のメカニズムは科学的に解明済み」とする山本弘の間違い


 当ブログ第2回目の記事では、「ツインタワー崩壊のメカニズムは科学的に解明済み」とする山本弘の間違いを検証する。実際には未解明であるのだが、山本弘は解明済みであるとし、『RikaTan』をはじめ、あちこちで語っているのだ。
 これは陰謀論がどうということとは関係がない。ただの事実認識の問題である。

WTC崩壊要因は未解明とする、磯部大吾郎教授の正しい事実認識


 まず最初に、この点についての正しい認識を紹介しよう。筑波大学大学院・磯部大吾郎教授の見解が以下である。この問題への世界的な研究の経緯にも触れられているので、少々長く引用する。

(前略)ビルの崩壊については,米国政府調査局のFederal Emergency Management Agency(以下,FEMAと記す)によって2002年に,National Institute of Standards and Technology(以下,NISTと記す)によって2005年に報告書がまとめられた.報告書では,WTC1, 2号棟ともに飛行機の衝突によりコア柱や周辺の架構が切断されて応力再配分が起こり,その後発生した大規模な火災により残存する架構の耐力が失われ,床中央部が陥没し,最終的にいわゆる進行性崩壊を招いたとしている.各界で科学的な検証も進み,例えばBazantらは,位置エネルギの解放に伴って増大した運動エネルギを吸収する塑性変形メカニズムについて考察することで,WTCの崩壊メカニズムを検証した.Quanらは,WTCの正確なモデルを使用した訳ではなく,崩壊要因を特定する目的ではなかったが,航空機の衝突から全体崩壊までの解析を一貫して行い,妥当な崩壊シナリオを示すことに成功した.日本でもかなり早い段階で,航空機衝突によるビルの被害状況および全体応答について,福田らが数値シミュレーションによる検証を行った.また,日本建築学会WTC崩壊特別調査委員会によって世界貿易センタービル崩壊特別調査委員会報告書がまとめられ,2003年の日本建築学会大会ではパネルディスカッションが企画された.しかし,前述のFEMAおよびNISTの報告書では,ツインタワーがコア構造までを含めて地上まで完全に崩壊してしまった直接的な要因については詳細な検討や考察がなされておらず,また他の文献でも崩壊要因を特定付けるのに成功したものはなく,この件についてはまだ多くの疑問が残っているのが現状である.

磯部大吾郎『WTCの崩壊要因とリダンダンシーについて』
http://www.kz.tsukuba.ac.jp/~isobe/186.pdf

 特に重要なのは最後の一文だ。未解明だということである。(それゆえ、磯部教授はこの論文で「スプリングバック説」というWTC崩壊の仮説を提唱しているのだが、ここでは触れない)


WTC崩壊要因は解明済みとする、山本弘の誤った事実認識


 次に、山本弘の認識を紹介しよう。『RikaTan』の記事は論旨がはっきりしないので、まず先にネットでの発言を引用する。

旅客機の衝突と火災によってビルが崩壊するメカニズムは、専門家によって矛盾なく説明されている。


蒸し返しになるけど、ツインタワーの倒壊プロセスについては建築学の専門家たちが、制御解体なんて概念を用いずに、矛盾なく解明してみせているわけですよ。


 ツインタワー崩壊のメカニズムは解明済みという認識である。ではその根拠はどこにあるのか。『RikaTan』2016年12月号の記事「9.11 テロはアメリカ政府の自作自演?」から、これも長いが引用する。

 NIST(米国標準技術局)は、2005年にWTC崩壊に関する最終報告書を提出している。これは1万ページに及ぶ膨大なもので、調査には3年以上の月日と2400万ドルの費用を要した。200名の技術的な専門家(125名の民間・学術関係の第一人者を含む)が関わり、1,000人以上の目撃者と会見、7,000カットのビデオ映像と7,000枚の写真、瓦礫から回収された236個の破片の分析も行っている。そして旅客機がタワーに衝突した瞬間からビルが崩壊を開始するまでを、室内実験とコンピュータ・シミュレーションで再現した。
 ツインタワーの床は、トラスと呼ばれる鉄骨構造で支えられていた。それはビルの外周の柱にボルトで固定されていた。そこに旅客機が突入し、多くのトラスを吹き飛ばした。さらに激しい火災が発生した。残ったトラスは熱せられて自重でたわみ、外周の柱を引っ張った。その結果、柱はついに上層階の重量を支えきれなくなったのだ。
(中略) 
しかし日本でも、2001年12月に日本建築学会がWTC崩壊特別調査委員会を発足、崩壊のメカニズムを研究している。この調査委員会の委員長だった東京工業大学の和田章教授(専門は建築学)は、学生と模型を使った実験も行ったが、崩壊する際に建物の中の柱が外部に跳ねて飛び出すなど、WTC崩壊のテレビ映像とそっくりな現象が見られたという。和田教授はこの研究を元に「リダンダンシーに優れた鋼構造建築物のための崩壊制御設計ガイドライン」を2005年に発表、日本鋼構造協会特別賞を授与されている。(P63)


 だから何なのかということが書かれていないが、同じ人間がネットと雑誌とで異なる主張をするはずがない。ゆえに、山本弘はこのNIST報告書と和田章教授(現在は東京工業大学名誉教授)の論文を、WTC崩壊のメカニズムは解明済みとする根拠としているのだ。だが、先に磯部教授の見解にみたように、この認識は間違いである。
 では、このNIST報告書と和田教授の論文が実際にどのような内容か、見てみよう。


NIST報告書は「ツインタワーの崩壊」の調査を放棄した


 ツインタワーの崩壊要因の調査を受け持ったのは、米政府商務省のNISTという組織である。これは上記の引用に説明がある通りだ。だがこのNIST、実際には「崩壊の始まるまで」を調査しただけで、「崩壊そのもの」の調査を放棄しているのだ。NIST報告書P82の注釈にはこうある。

The focus of the Investigation was on the sequence of events from the instant of aircraft impact to the initiation of collapse for each tower. For brevity in this report, this sequence is referred to as the “probable collapse sequence,” although it does not actually include the structural behavior of the tower after the conditions for collapse initiation were reached and collapse became inevitable.

『Final Report on the Collapse of the World Trade Center Towers』
http://ws680.nist.gov/publication/get_pdf.cfm?pub_id=909017


(管理人訳)
調査の焦点は、飛行機衝突の瞬間から両タワーの崩壊開始までの連続的事象に置かれた。簡潔さのために、本報告ではこの連続を "probable collapse sequence" と呼ぶが、これには実際には、崩壊開始の条件を満たし崩壊が不可避となって以降のタワーの構造的挙動は含まない。


 このように、NIST報告書が扱ったのはタワーの ”initiation of collapse” までなのだ。この報告書をもって「解明済み」とはとても言えない。だが、ここは先に引用した『RikaTan』の記事でも、そういう正しい表現になっている。ならば、山本弘もこの点は理解しているに違いない。


和田章名誉教授による研究


 ではもう一方、和田章名誉教授の論文はどうか。山本弘が根拠に挙げているのは『リダンダンシーに優れた鉄構造建築物のための崩壊制御設計ガイドライン』である。だが、これはそのタイトルが示す通り、ツインタワー崩壊のメカニズムを説明したものでないのは明らかだ。
 また、先の引用の中の一文、次の記述はどう理解すべきだろう。

学生と模型を使った実験も行ったが、崩壊する際に建物の中の柱が外部に跳ねて飛び出すなど、WTC崩壊のテレビ映像とそっくりな現象が見られたという。


 これは、911の真相究明を訴えていた民主党・藤田幸久議員の著書『9.11テロ疑惑・国会追及』の記述によるものだ。同書の出版直前、和田教授が藤田議員の事務所を訪問し、そのように語ったという。当該の部分を引用しよう。

東京工業大学の和田章教授が2009年2月、私の事務所を訪れて崩壊の原因に対する見解を語ってくれた。(P153)

和田教授は、崩壊の原因を探るために学生とともに同じ構造の模型を作り、トラスと床が崩れるとどうなるのかの実験をしている。模型実験ではバランスが崩れると同時に建物を支えていた柱が崩壊し、建物中間部の柱が外部に跳ねて飛び出し、世界貿易センター崩壊時のテレビ映像とそっくりの現象が発生していることがわかったという。(P155)


 和田教授が藤田議員にこのように語ったのは事実だろう。だが、磯部教授も言及していないように、そういった内容の論文は見当たらないのである。論文にまとめられていない研究など根拠にはならない。
 

 いかがだろう。山本弘が根拠としているのは、結局、藤田議員の本にあるわずかな記述だけなのだ。和田教授が模型実験でWTC崩壊のテレビ映像とそっくりな現象が見られたと言っている、ただそれだけだ。そこから見えてくるのは、事実に対する誠実さとは正反対の「自分の信じたいものを信じる」という姿勢だけだ。この霞のように薄弱な根拠を基に、山本弘はデタラメを世の中に撒き散らしているのである。

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2017-09-27 : 『RikaTan』 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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デミ

著者:デミ

 これまで主にmixiで911の議論をしてきましたが、この度ブログを開設しました。よろしくお願いします。

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