左巻健男は物理の基礎を理解できているか
調べればすぐわかる嘘。バカなら騙せると思っているんだろう。本当にクズだ。
今回は、左巻健男の物理知識を問う。
左巻健男は法政大学教授、東大でも講義を持っているらしい。専門は理科教育、科学コミュニケーション(http://u0u0.net/I1xj)、ただし博士号は持っていない。ロングセラー『面白くて眠れなくなる物理』など、一般向けの科学の著作も多く、科学教育雑誌『RikaTan』の編集長でもある(ちなみに発行人は夫人の恵美子氏)。
以前の記事で見たように、左巻健男が編集長を務める『RikaTan』の記事に、初歩的かつ致命的な物理の間違いがあった。それを雑誌に載せたのは左巻健男である(表紙に大きく「編集長 左巻健男」とある)。彼は物理の知識があるのだろうか。
結論から言おう。彼は理科教育の専門家であるが、おそらく物理の基礎を理解できていない。
『RikaTan』に掲載された、初歩的な物理の間違い
雑誌に載った物理の間違いとは、以下のようなものである。繰り返しになるが引用しよう。
デビッド・チャンドラーという陰謀論者が作ったビデオ「North Tower Acceleration」(https://www.youtube.com/watch?v=Qpkz8Vowq8w)では、WTC2(※正しくはWTC1)の崩壊時の加速度を自由落下の64%と見積もっている。そこまではいいのだが、その先がひどい。チャンドラーは落下中の上層階の重量は静止状態の36%になっているはずで、静止した上層階の重量より小さいのだから、ビルが崩れるはずがない、と主張するのだ。
彼の主張を言い換えればこうなる。「落下中の植木鉢の重量はゼロである。これは頭に載せた植木鉢の重量よりも小さい。よって、高所から落下してきた植木鉢があなたの頭を直撃しても、あなたは倒れることはない」。
この考えが間違っているということは、常識があれば誰でも理解できると思うのだが。────山本弘
『RikaTan』2016年12月号 P62
これは間違いで、チャンドラーの動画は正しい。運動方程式、物理学の超基礎である。(※)
事前に忠告されたにもかかわらず掲載した
この間違いについて、この雑誌が発行される前に(ブログで予定記事と筆者が分かった)、僕は左巻健男へメールを送った。著者の山本弘が他の場所で同様の間違いを書いていることを知っていたため、この間違いを繰り返すことなかれ、と忠告したのだ。そうしたら「山本弘にメールを転送します、あとは記事を読んで下さい」という内容の返事が返ってきた。
僕のこのメール、山本弘にはしっかり伝わっていたようである。上記引用の「デビッド・チャンドラーという陰謀論者が作ったビデオ」という記述は、正確には
デ ビ ッ ド・ チ ャ ン ド ラ ー と い う 陰 謀 論 者 が 作 っ た ビ デ オ
と書かれている。普通の読者はまず気付かない、気付いても意味が分からないだろう。だがこれは、僕へのバカにしたニュアンスを含む返答、というわけだ(もちろん恥の上塗りをしているだけだが)。
山本弘の批判はまたの機会として、今回は左巻健夫だ。このように、彼は事前に忠告を受けながら、この記述を載せたのである。この間違いはリンク先の動画を観ずとも、説明の文を読むだけで分かるはずである。速度と加速度の混同、物理初学者のする典型的な間違いだからだ。物理を理解している人間ならば見過ごさないはずである。
アリストテレス的素朴概念
「左巻さんは物理が理解できていないのかな?」
そう思って、僕は『RikaTan』のバックナンバーを探してみた。そして、図書館ですぐ前号(2016年10月号)に力学の特集を見つけた。特集「見えない力を見る・知る・感じる!」である。特集のトップページの一番最初に、左巻健男はこう書いている。
力そのものは目に見えない。力の認識については、日常の体験や思い込みなどからアリストテレス的素朴概念をもっていることを克服することがポイントだ。(P29)
その通りだ! 山本弘の間違いはまさにそれなのだ。理解できていれば、科学教育の雑誌にそんなものを載せるはずがないのだ。それはもう切腹モノの大恥なのだ。
左巻健男の物理知識
力学特集の最初の記事は、左巻健男による「力とは何だ!?」という4ページの記事である。そこには「力」の説明としてこうある。
(1) 力を受けると物体は変形する
物体に力が働くと、物体が変形します。
これは正確ではない。間違いだ。重力には物体を変形させる性質はない。これ一つ取っても、左巻健男の物理の知識が不足していることが分かる。
左巻健男と山本明利の共著『新しい高校物理の教科書』P30には以下のようにある。こういう風に書かなければならない(この部分の執筆者は高見寿)。
(前略)このように「力」は広い意味で使われるが、物理学では、次の2つの意味に限定して使う。
❶物体を変形させる作用
❷物体の運動状態を変化させる作用
911の記事の載った陰謀論の特集には、「陰謀論のどこがおかしいかを科学的な検証をしてきた友人に執筆してもらった」とある。そして、この後も『RikaTan』では、山本弘に記事の執筆を依頼しているのだ…
結論
911の記事の間違いについては雑誌の発売直後、左巻健男にメールをした。だが返事は来ない。ならば勝手に考えよう。
左巻健男は物理の基礎を理解できていない。ゆえに、山本弘の「物理初学者のよくやる間違い」を平気で雑誌に載せ、訂正もしない。またWTC崩壊の物理的な疑問点を理解できないがゆえに、「911陰謀論はトンデモ」みたいなことを言っていられるのだ。
その他、関連していろいろ
ニセ科学批判も結構なことだが、物理を理解していない物理教師の存在も、同じように問題だろう(ちなみに左巻健男は高校の化学教師だったようだ)。山本弘や左巻健男と同じように基礎の理解があやふやなまま、テストの点の取り方だけを覚えて進学しそのまま物理教師になった、なんて先生は掃いて捨てるほどいるだろう。それは本来、科学教育の専門家が取り上げるべき問題ではないのか。
そして、ニセ科学の批判者は、自分が間違えたときはそれを認めなければならない。そうでなければ「ニセ科学」と何も変わらない。
何十年間もニュートンの運動の三法則を理解できていなかった、知ったかぶりをしていた、などと言うのは辛いだろう。だが、身から出た錆である。読者に対して責任を果たさなければならない。
また、先のデイヴィッド・チャンドラーの動画が理解できずに、すなわち加速度や「力」が理解できずに、物理を面白いと思えるものだろうか? 僕は無理だと思うのだが。左巻健男や山本弘のように、知ったかぶって「物理は面白い!」とか「科学を愛する」などと語るのは、何とも空しい。
運動方程式などの基本的な部分で躓いたなら、物理がつまらなく思えて当然である。それは少なくとも、分からないことを分からないと認識できているのだ。むしろ、分かったような気分になって先に進めてしまう人より、科学の素養があるかも知れない。
最後に、山本弘の邪な小技について。
上記の山本弘の911記事の引用だが、リンクをクリックして出てくる動画は、山本弘の言う『North Tower Acceleration』でなく、『デイヴィッド・チャンドラー - 北タワー崩落の加速度 - 日本語字幕』である。また山本弘は「デビッド」としているが、正しくは「デイヴィッド」・チャンドラーである。これらは故意の検索対策だろう。検索し動画を観てほしくないのだ。山本弘は実のところ、自分の主張に自信がないのである。
ひょっとすると、これらが功を奏して雑誌内部でのチェックをすり抜け、掲載されたのかも知れない。だが既に書いたように、説明文だけでその間違いは一目瞭然である。また、当たり前だが、「間違いを知りながら掲載した」などというのは論外だ。
※David Chandler の動画の主張に対しては、「カメラの解像度の範囲内で観察することができないのだ」という指摘があることを、一応記しておく。
http://bcndoujimaru.web.fc2.com/911evidence/15_YEARS_LATER.html
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