『RikaTan』の記事⑥ 遺体をペンタゴンの現場にばら撒いた?
今回は『RikaTan』の記事から、山本弘の考える9つの「代表的な陰謀説」のうちの8番目を取り上げる。「ペンタゴンに突入したのがAA77便でないなら、乗客の遺体はどこから来たのか?」という疑問である。
⑧本物のアメリカン航空77便は、どこかの軍事基地にこっそり着陸させられた。乗員乗客は全員殺され、その死体はばらばらされて焼かれ、ペンタゴンで発見されたかのように偽装されたのだ。
この「偽装」とはどういうものか。山本弘『ニセ科学を10倍楽しむ本』の記述が詳しい。
パパ「本物のアメリカン航空77便は、どこかの軍事基地にでもこっそり着陸させられて、乗員乗客は全員殺されて遺体を焼かれた。その黒こげの遺体を、何者かがこっそりペンタゴンの現場に持ちこんでばらまいた……というんだ」
夕帆「回りくどい!(笑) それだったら旅客機をぶつけたほうが早いじゃない。(略)」(P300)
……おかしな話である。あまりにもおかしな話だ。こんなことを言っている奴はいない。
夕帆ちゃん、残念だけどそれはパパの嘘なんだ。
元ネタ
この話の元ネタはおそらく、2008年11月「911真相究明フォーラム in OSAKA」での、グリフィン教授の以下の発言である。『Skeptic's Wiki』から引用しよう。
そういえば、まだ遺体に関する質問に答えてなかったね。もちろん遺体はあったさ。殺された125人のペンタゴンで働いていた人たちの遺体が。しかし、飛行機に乗っていた誰かがペンタゴンで死んだという証拠を我々は持ち合わせていないんだ。われわれが知っている唯一のことは、飛行機からの遺体とペンタゴンからの遺体は陸軍の病理学研究所に現れたということだ。しかし、それらの遺体がFBIと軍によって運ばれてきたということは不則なことだった。遺体はペンタゴンから別の建物に移され、そして病理学研究所に運ばれてきた。よって、その中継となった建物に飛行機からの遺体はどこか別の所から運ばれてきたかもしれないのだ。そして病理学研究所の人々はそれらの遺体はペンタゴンから来たと推測しただけかもしれない。
元の音声記録(訳の仕方が異なる) (54:30~)
https://www.corbettreport.com/mp3/20081101_griffin_afternoon_lecture.mp3
つまり、乗客の遺体は「輸送の途中で加えられた」ということだ。山本弘の言うように「ペンタゴンの現場に持ち込みバラ撒いた」という話ではない(当たり前だ)。
自覚的な嘘
山本弘は嘘を言ったのだ。あまりにも嘘くさ過ぎるから、『RikaTan』では「偽装した」とぼやかして書いたのだろう。嘘の自覚があるのだ。
その他本やブログなど、あちこちで同じことを言っている(「論理盲」のひとたち))。自分の嘘を元に他者を批判する。馬鹿らしい話である。
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